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形成外科

このページは静岡市静岡医師会の所属医師が提供する情報です。
一般的な情報ですので、各個人でお知りになりたい詳しい情報などは、かかりつけ医にご相談ください。

ケロイド・肥厚性瘢痕などキズあと
唇裂(しんれつ)と口蓋裂(こうがいれつ)
やけど
手足の先天異常
小耳症
アザ

●ケロイド・肥厚性瘢痕などキズあと
 キズは必ずあとが残りますがキズあとの程度はキズの性質や部位、体質によって治り方が変わります。キズは普通1週間でふさがったり新しい皮膚がでてきたりし3ヶ月で白く治ります。しかし深いやけどをした場合やキズが肩や胸など可動部の場合あるいはケロイド体質の場合は、いったんキズが治ったように見えてもしだいにキズが異常に赤く盛り上ってかゆみや痛みが強くこわばったりして目立つ場合があります。この内キズの範囲を越えて腫瘍状に広がるものをケロイド、キズの範囲を超えず自然に治る傾向があるものを肥厚性瘢痕と言います。

  キズあとがこのようなケロイドや肥厚性瘢痕にならないためには形成外科で最初から十分なアフターケアを行なうことが大切です。形成外科では手術討画に1/4、手術に2/4、手術後のアフターケアに1/4、の比率で重要性があるとされアフターケアも大切な要素として重視します。

  ケロイドや肥厚性瘢痕にならないためのアフターケアの方法は手術後約3ヶ月間キズに形成外科用テープを貼ってキズを圧迫固定し皮膚の緊張緩和をはかります。最初にこれらの処置方法の指導を受ければその後は自分で行なえますが1ヶ月に1度くらいは診察を受けてください。少しでもケロイドになる徴候があればすぐに予防処置をしなければなりません。一般にケロイドは手術後1〜2ヶ月までに現われるのでこの間が要注意です。形成外科医のチェックを受けてください。

  不幸にしてなった場合の治療としては、かゆみや痛みに対して外用薬(塗り薬、貼り薬)や内服薬、ステロイドの局所注射がある程度効果を示します。また圧迫固定手術による除去も場合によっては行なわれます。いずれもすぐに効果は得られないことが多く少なくとも数ヶ月から2〜3年程度は根気よく治療を続ける必要があります。
●唇裂(しんれつ)と口蓋裂(こうがいれつ)

唇裂・口蓋裂は日本では出産約500人につき1人の割合で見られます。全く健康な両親の間に生まれる場合が多く、ひとつの家族やある家系にかたよることはあまりありません。しかし家系にこのような異常があれば出現率は約10倍に増加し、遺伝的な因子をまったく無視することはできません。環境因子も注目されていますが、遺伝的にも環境的にも同一と考えられる一卵性双生児の場合でも双方が異常である率は30%程度とされています。

環境因子としては薬剤(ステロイドホルモン、てんかんの薬、精神安定剤、避妊薬など)や風疹ウイルス、トキソプラズマ、インフルエンザウイルスなどの妊娠中の感染、高齢出産、妊娠中の腹部の外傷やレントゲン照射、たび重なる自然流産などがあげられます。またこれらの環境因子は重なり合って影響すると考えられています。口唇は妊娠の7週まで口蓋は口唇よりやや遅れて12週までに形ができあがり、この時期に母体に上記のような要因があると異常を生じると考えられます。どういう訳か  唇裂は左側に多く、約半数は口蓋裂と合併します。唇裂も口蓋裂もよい治療を受ければ普通のこどもとほとんど変わらないぐらいにまで治ります。希望をもって形成外科にご相談ください。

唇裂・口蓋裂児は正常児にくらべて哺乳が容易でないのは当然ですが、正常なことばの機能を得るのに舌や口の中の筋肉の発達が重要なため普通の方法で哺乳すべきです。1回の哺乳量が少いときは回数を増やして飲ませましょう。

唇裂の手術は生後3ヶ月体重5〜6kgぐらいになってから行ないます。形成外科で手術を行なえばキズあとがほとんど目立たなくなるだけでなく口唇の筋肉を正常な走行に直して縫い合すので口唇の機能もよくなり口唇や鼻が顔全体の中で調和のとれた状態になります。しかし1回の手術で完全な形に治すことは困難で2回目の手術が必要です。2回目の手術はなるべく学童期の方が本人の協力も得られますが、あまり目立つ場合は就学前に行なうこともあります。

口蓋裂の手術はことばの発達とあごの骨の発達の2つの面を考えて決めます。口蓋裂児は正常児にくらべて生まれつきあごの発育が悪いことが多く、あまり早く手術をすると上あごの発育を一層悪くする危険があります。また口蓋裂の手術では、ことばの発達という問題も重要です。1才頃からことばを話し始めるため1〜2才体重約10kgの頃に形成外科で手術して鼻咽腔閉鎖機能を高めると、燕下運動やことばの発育は正常児と同じようになります。適切な時期に良い手術を受けた患児の場合はことばの発育を注意することで約90%は正常なこどもと全く同じように話せるようになります。しかし手術の時期が遅れてしまっ たり口蓋裂の程度がひどかっ たり適切な手術が受けられなかっ た場合にはことばの障害を残すことがあります。しかしこの場合でも言語訓練をうけたり追加の手術をするなど適切な治療で昔通のこどもと同じように話せるようになります。ことばの障害を残さないために適切な時期に形成外科で治療をうけるとともに言語治療の先生について手術後の経過を見てもらう必要があります。本格的なあごの矯正は普通、永久歯にはえかわる頃から始めます。

唇裂・口蓋裂の場合の入院、手術などの治療は健康保険が使えます。また国が育成医療制度による医療費の補助を行なっています。

●やけど

やけどの応急処置はまず冷たい水で冷やすことです。衣服に火がついた時はもちろんですが熱湯をかぶったような時でも衣服の上からとにかくすぐに冷たい水をかけることが大切です。冷やすとやけどが進行するのを止めることができ痛みに対しても非常に効果があります。手っ取り早く簡単なのは水道を流しっぱなしにしてかけることです。また容器に水を満たしつけても良いし清潔なタオルを使って冷やすのも良いでしよう。冷やす温度は10〜15℃ぐらいが良く時間は10〜20分ぐらいが必要です。

冷やした後は何もつけないで清潔なタオルで創をおおって病院に行くことです。消毒は必要ありません。強い殺菌力の消毒薬はかえって障害となります。やけどに味噌や油を塗るのは逆効果ですので絶対にやめましょう。素人治療では無理です。必ず医師の治療をうけてください。

やけどが重いか軽いかは主としてやけどの範囲と深さの程度によって決まります。範囲の計算は(9の法則)という図式でおおよその見当がつけられます。また手の広さを1%とみて討算することも簡単な方法です。深さについては1度、2度、3度、に分けられます。

1度は日やけと同じでただ赤くなってヒリヒリ痛みますが、ほうっておいても自然に治ってしまうので治療の対象になりません。2度は中間の深さのもので水庖(水ぶくれ)をつくります。この2度のやけどは深い2度と浅い2度とで症状も治り方もかなり違います。浅い2度の場合は水庖のところが赤味があって痛みが強く、適当な治療がされるとおよそ2週間ぐらいで自然に上皮がはってきてほとんどあとをのこさないで治ります。深い2度の場合は赤味が少くむしろやや白っぽくみえ痛みも少いのが普通です。水庖の下に死んだ皮膚の白っぽい痂皮(かさぶた)ができます。これがとれると下に皮膚がはってくるわけですがそれまでにかなり日数がかかり治った後にもかなり目立ったキズあとを残します。したがって深い2度の時は3度と同じように植皮が必要となる場合も多いのです。3度というのは皮膚の全部の厚さが焼けてしまうので皮膚は硬くなってしまい痛みもかえって少いのが普通です。3度は皮膚が全部やられてしまうのでごく狭い範囲の場合をのぞいて植皮が必要となります

やけどが重いか軽いかの判定はおおよそ1度はのぞいて2度と3度のやけどを合わせて体の面積の15%以上あれば重症と考えられ、入院しての積極的な治療が必要です。小児や老人の場合は10%ぐらいでもショックになることがあり当然入院が必要となります。またもっと小範囲のものでも顔や手、肛門部、陰部の場合は入院した方が良いでしよう。重症のやげどの時は数時間後にショック状態になるのが普通ですので点滴注射などによるショックの対策を考える必要があります。

やけどの後遺症として一番問題となるのは、治ったあとの創痕の醜さ(醜い瘢痕)と創痕のひきつれのために関節の動きが悪くなったり形が変ったりすること(瘢痕拘縮)です。やけどのあとのキズあとは1年ぐらいで徐々に色がうすくなり平坦になって目立たなくなってくるのが普通です。しかしやけどがある程度以上の深さになるといつまでも創がふさがらなかったり、たとえ創がふさがっても醜い瘢痕を残したり瘢痕拘縮のために関節の動きが悪くなったりします。このような場合植皮が必要となる場合があります。植皮をしたところは不自然で外力にも弱く皮膚を採ったところにも創痕を残します。植皮した場所は約1週間包帯で圧迫して固定します。皮膚がつけば約1ヶ月で普通に使えるようになります。入院は形成外科のある総合病院が一番適しています。

●手足の先天異常

手・足は指が5本づつありそれぞれに爪があり均整のとれた形で関節の動きも十分にあるものを正常とすると、この状態からはずれたものが異常ということになります。小指が少し短かいような軽いものから指がまったくないような重度のものまでさまざまです。指の数が多いもの(多指症)、指の数が少ないもの(欠指症)、指の長さが短かいもの(短指症)、大きいもの(巨指症)などもあります。

先天異常の発生原因を知ることは大変むづかしいのですが原因は内因子によるものと外因子によるものの2つに分けられます。内因子によるものは遺伝がありますが外因子によるものに遺伝はありません。内因子と外因子との比率は一般に手足先天異常の20%が内因子20%が外因子(うち10%はウイルス)、60%は不明とされています。外因子のなかでウイルスが原因となるものは水痘症、麻疹、流行性耳下腺炎、脊髄性小児麻痺、流行性肝炎、風疹などです。

よく人目を避けるため異常の手に手袋や包帯をしているのを見かけますが手は使うためにあるのですから使わないと成長しません。親があまり神経質になって手をかくしたりすると、こどもも人前に出ることを恥しく思うようになり結果的に劣等感を持ってしまう恐れもあります。このような手足の先天異常の子どもは意外と多く、たとえば多指症は出生1000人に対して1〜2人の割合です。

さて治療ですが、原則的に生後の早い時期での手術は避けなければいけません。生後すぐに手術を受け誤った切開が加えられると成長につれ指の屈曲変形をおこします。また骨が発育する骨端線のわずかな障害も後の発育に大きな影響を与えます。普通は生後1年前後に手術します。手術は異常の種類状態によって異なります。

多指症は手足先大異常のうちでもっとも多く、手では母指の側に圧倒的に多く発生します。過剰の指が痕跡的に突き出す軽いものから細い茎でぶらぶらする指がつながっているもの(浮遊型)、完全な指の形を示すものまであります。本来の母指が正常の大きさであり過剰の指が小さければ単に切り取ってしまうだけの簡単な手術ですみますが本来の指が小さい時は過剰の指の半分または1部をひっつけてなるべく正常の母指の大きさになるようにします。

多合指症は足に多くとくに小指側に多発します。第5・6指のうち発育の悪い指を切除するとともに合指に対しては指の分離を行ないます。
合指症は指がたがいにくっついているもので多指症についで多い異常です。指を分離しますが、ただ分離するだけでなくあとで指が変形しないような細かい技術をほどこします。多くの場合分離の時に皮膚の移植が必要となります。
これらの手術は手の外科が得意な医師のいる病院で受けるのがよいでしょう。治療には育成医療が適応されます。

●小耳症

単に耳介が小さいものから全く耳がないものまで種々の異常がありますが、最も多いのは耳たぶのみが残存し耳の穴や耳介が全くないもので、右側に多いのが特徴で両側は非常にまれです。日本では出産約20000人につき1人の割合で見られ、遺伝的要素はないとされています。耳の穴がないので患側は高度の伝音難聴となりますが、健側の聴力は正常ですので健側を中耳炎などで悪くしないように気をつければ聴力で日常生活上困ることはありません。不幸にして両側とも小耳症の場合でも内耳は正常ですので骨導補聴器をつければ言葉の発達遅延などは防げます。

治療は自分の肋軟骨を採って耳介を形成することになります。作成した耳介は成長しないので耳介の大きさがほぼ成人と同じになる10才頃に健側の耳介の大きさを型録って形成するのが最適です。しかし入学すると給食当番などでマスクをする際耳介が必要であったり眼鏡がかけられないなどの理由で小学入学までの治療を希望されることが多いようです。この場合、小耳症の形成術は耳介のフレームを側頭部に埋め込み6ヶ月後に起こして植皮するなど最低2回の手術が必要で、少なくとも入学1年前の5才には治療を始める必要があります。耳の穴は少し深く陥凹させるだけで聴力改善手術は、健側と同程度にすることが不可能でかえって顔面神経麻痺や中耳炎など合併症を起こす危険が高いため行いません。

小耳症形成術も特殊な技術が必要で、形成外科のある総合病院のなかでも小耳症の得意な医師のいる病院で受けるのがよいでしょう。

●アザ

アザの種類には色では茶褐色、黒色、青色、赤色、黄色など、病態として白然に消えるもの消えないもの、生まれつきのものかなりたってから現われるもの、などさまざまなものがあります。

茶褐色はしみのような扁平母斑がもっとも多く、黒いのは色素性母斑で小さなほくろから巨大なものまであります。青いのは蒙古斑、太田母斑、青色母斑などで、新生児のおしりにみられる蒙古斑は8才ごろまでに消えますが、おしり以外の場所にある異所性蒙古斑は消えないことが多いアザです。赤いのは血管腫で、皮膚から盛り上がらない単純性血管腫や赤ちやんの上まぶたや眉間にできるサーモンパッチと、盛り上がる苺状血菅腫や海綿状血管腫があります。黄色は頭によくでき丸く脱毛したようにみえる類器官母斑があります。サーモン・パッチは生後1年以内に苺状血管腫は4〜7才くらいまでにほとんどが白然に消えます。ほとんどのアザは生まれつきですが太田母斑は思春期になって現れることも多いアザです。

消えないアザの治療法としてはレーザー療法と切除とがあり、赤や青、茶色、小さい黒のアザにはレーザー療法が大きい黒や黄色のアザには切除が行われます。レーザーには色々な種類がありそのアザにもっとも適したレーザーを使用すればかなりきれいに治療できます。特に単純性血管腫に対する色素レーザーや太田母斑に対するQスイッチルビーやアレキサンドライトレーザー治療は非常に効果的です。これらレーザー装置は高価なためすべての病院の形成外科には完備してなく、あっても1種類のことが多いので自分のアザの種類にあったレーザーを完備している病院を探すことが重要です。大きな色素性母斑や小さくても足底にあったり色むらやにじみのあるほくろ、類器官母斑は悪性化することもあり切除が望まれます。小さなものは一度に切り取ることができますが、幅3cmくらい以上のものでは一度に切り取れず半年くらいの間をおいて何回かに分けて縫い縮めます。また、巨大なものではアザの部分を切り取りその部分に体のほかの部分からの皮膚を移植する植皮術が必要となります。

レーザーや切除が困難な時期は特殊な化粧品でアザをおおう方法があり、皮膚面から盛り上がっていない太田母斑や扁平母斑、単純性血管腫などは自然の色調にかくすこともできます。

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